石山牧場
愛媛県西予市野村町
今回の酪農家訪問は、西予市野村町の石山さんを紹介します。石山牧場のある西予市野村町は、「シルクとミルクの町」と呼ばれるこの町は養蚕と酪農で栄えてきました。四国山脈の支脈に囲まれ、雄大に広がる風景の中では先人たちの営みから脈々と続く文化や風習も受け継がれており、江戸時代から続く日本で唯一プロとアマが対決する「乙亥大相撲」が有名です。

石山牧場
愛媛県西予市野村町
今回の酪農家訪問は、西予市野村町の石山さんを紹介します。石山牧場のある西予市野村町は、「シルクとミルクの町」と呼ばれるこの町は養蚕と酪農で栄えてきました。四国山脈の支脈に囲まれ、雄大に広がる風景の中では先人たちの営みから脈々と続く文化や風習も受け継がれており、江戸時代から続く日本で唯一プロとアマが対決する「乙亥大相撲」が有名です。
【経営の推移】
石山さんは、令和6年4月に新規就農者として酪農経営を始めました。出身は野村町四郎谷で、非農家の三男として生まれ、地元野村高校に進学しました。在学中に牛と関わる作業をするうちに酪農に魅力を感じ、共進会や地元酪農家との交流により、乳牛と携わる仕事に就くことを決め、稲葉ビレッジファーム(有)に就職しました。従業員として15年勤め、飼養管理技術やエサ作り等多くを学ぶと共に、30歳で結婚し子供が誕生したことをきっかけに独立を考えるようになりました。第三者継承による酪農経営を考えていましたが、条件に見合う牧場がなかなか見つからず諦めかけていた矢先、地元の井関吉博さんから「廃業するので牧場を譲りたい」と声がかかりました。急な話に嬉しい反面不安もあり戸惑っていましたが、奥さんからの後押しが有り、33歳で経営を始めることとなりました。
【経営の概要】
石山牧場は、井関吉博さんが約21年前に建築したフリーバーン牛舎、スイングパーラー6頭搾りを利用して、経産牛58頭(うち搾乳牛48 頭)、育成牛22頭の合計80頭を飼養しています。労働力は、石山さんと奥さんの2人ですが、現在は第二子誕生に伴い子育て奮闘中です。
石山牧場の令和6年度生乳出荷量は544tで、牛群検定による経産牛1頭当たりの年間平均産乳量は9684㎏と、牛群飼養管理に努められています。また、乳成分においても乳脂肪率4.11%、無脂固形分率8.83%、乳質では体細胞数30万、細菌数3万と安定した良質乳を生産されています。
飼養管理面では、先代の飼い方を見習い、牛一頭一頭を大事に管理されており、就農1年目は事故も無く乳質も安定しています。また、自らの労働力を見据えて飼養頭数にも拘り、特に搾乳牛48頭と設定し、6頭搾りの8回転で搾乳時間は約1時間と効率をあげておられます。
堆肥処理については、良質な完熟堆肥を飼料畑へ全量還元し、デントコーン、ソルゴーを作付けし、東宇和コントラクター研究会を利用しながら、ロールサイレージでの自給飼料生産に精力的に取り組み労働力負担軽減を図っています。
牛群改良については、令和7年3月の愛媛県乳用牛共進会では、未経産牛の部でリザーブチャンピオンを、4月の四国連合乳用牛共進会では、未経産牛の部で優等賞1席を受賞しました。牛群審査にも取組、エクセレント牛が2頭誕生しており、能力の高さがうかがえます。
また、定期的にヘルパーを利用し、ワークライフバランスを充実させ、子育てや地域活動に積極的に取り組んでいます。
当面の課題として、個体乳量アップと乳質安定化を目指し、自給飼料の増産に力を入れたいと考えています。また、今後も酪農の経験を積み判断力や対応力を養い、無理をしない経営を目指します。
現在、愛媛県酪農後継者部会の部会長や、東宇和乳牛改良検定同志会の役員を務める等、組織活動や地元地域活動にも、積極的に参加しております。今後の東宇和酪農を担う若い世代の一生産者として、一層の活躍と石山牧場の益々の発展を、職員一同期待しております。
(指導事務所野村駐在 西川 芳満)