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酪農家紹介

河野牧場

愛媛県宇和島市三間町

 今回の酪農家訪問は、宇和島市三間町の河野牧場を紹介します。
 河野牧場のある宇和島市三間町は、県西南の内陸部に位置し、町の中央には清流四万十川の支流である三間川が流れ、肥沃な土壌と豊富な水源に恵まれた稲作地帯で、県内有数の米どころとして農業を中心に発展してきました。
 町内には四国霊場41番札所 龍光寺、42番札所 仏木寺があり、年間を通して多くのお遍路さんが訪れます。また、地元自治体が主体となって取り組んでいる花いっぱい運動により、四季折々の花々が楽しめる「花のまち」でもあり、毎年11月初旬にはコスモス祭りが開催されています。

河野牧場について

【経営の推移】

河野牧場の酪農経営は、昭和41年に父の仁さん(県酪連前会長)が千葉県の牧場で実習を行い、終了時に子牛2頭を譲り受け、自宅の庭先で稲作と共に始まりました。その後、自宅の敷地内に14頭程飼える牛舎を造り徐々に増頭し、昭和50年には自宅より少し離れた場所に、補助事業を活用し36頭対尻繋ぎ牛舎を建設、後に50頭繋ぎに増築し現在に至っています。

裕喜さんは家業が酪農を営んでいる事もあり、高校卒業後、酪農の知識や技術を修得するため岡山県の中四国酪農大学校へ進学し、卒業と同時に地元へUターンし就農されました。


【経営の概要】

河野牧場は、現在、経産牛29頭(うち搾乳牛26頭)、育成牛15頭を飼養しており、令和5年度における生乳出荷実績は229tで、脂肪率3.96%、無脂固形分率8.56%、体細胞数と細菌数は常にAランクと安定した良質乳を生産されております。

労働力は裕喜さんが主体となり、搾乳、哺育・育成、飼養管理、繁殖管理、草地管理、経営管理と多岐に渡り担当、父の仁さんは搾乳や給餌、堆肥処理等の作業を行っています。仁さんが県酪連の会長を務めていた頃は、牧場を空ける事が多く労働力不足を補う為、平成29年に補助事業を活用し自動給餌機を導入しました。これにより朝昼晩の給与に要する労働力が軽減し、従来よりも給与回数を増やすことで、乳量の増加に繋げる事が出来ました。

後継牛は自家育成を基本とし、牛に負担を掛けず長命連産性を重視し、適度な能力と体型を有し、肢腰の強い中型の管理しやすい牛づくりを目指しています。自給飼料は、近隣の酪農仲間と細断型ロールベーラやラッピングマシン等を共同購入し、デントコーンとソルゴー等の作付を行っています。

経営を行う中で規模拡大や乳量を追い求める傾向にありますが、規模拡大や設備投資を見据えながらも、限られた労働力や現状の施設・設備の中でこれらを維持し、基本的なことを忠実にこなし、今の経営を充実させる事を常に心掛けています。

裕喜さんは、2年前に開催された西日本酪農青年女性会議主催の酪農発表大会に愛媛県を代表して出場され、発表に当たりこれまで自分のやってきた経営内容や今後の目標を改めて確認する事ができ、他県の発表者との交流等、貴重な経験になったそうです。

河野牧場の取り組みと今後

現在、F1やET和牛の価格は低迷していますが、繁殖面において性判別精液を積極的に活用し後継牛を確保した上で、これらの副産物についても効率的に生産し収益性を向上させる事を目指しています。また、子牛専用の管理施設の整備や牛床の改善、飼槽の補修等、既存の牛舎・施設に少しずつ手を加えながら整備を行うと共に、飼料価格が高止まりしている中で、増加している耕作放棄地を有効活用し飼料作付面積を増やす事で、コスト削減を図っていきたいとの事です。

らくれんより

現在、北宇和管内の酪農家はわずか6戸に減少し、危機感を抱いておられますが、少ない会員であるからこそ仲間意識を強く持ち地域活動にも積極的に参加し、酪農振興に努められております。特にこの管内は後継者が県内で最も少なく、若い世代の後継者との交流も大切にされております。
 また、地元の青年農業者と連携し、定期的に野菜農家の圃場へ地域の幼稚園児を招き、子供たちに収穫の喜びや自然に触れる楽しさを知ってもらう為、「芋掘り体験」にも取り組まれています。
 このような北宇和地区の将来を牽引するような存在である河野牧場の益々のご発展とご活躍を県酪連職員一同、心より期待致しております。

(南予指導事務所 大塚 政彦)