【経営の推移】
河野牧場の酪農経営は、昭和41年に父の仁さん(県酪連前会長)が千葉県の牧場で実習を行い、終了時に子牛2頭を譲り受け、自宅の庭先で稲作と共に始まりました。その後、自宅の敷地内に14頭程飼える牛舎を造り徐々に増頭し、昭和50年には自宅より少し離れた場所に、補助事業を活用し36頭対尻繋ぎ牛舎を建設、後に50頭繋ぎに増築し現在に至っています。
裕喜さんは家業が酪農を営んでいる事もあり、高校卒業後、酪農の知識や技術を修得するため岡山県の中四国酪農大学校へ進学し、卒業と同時に地元へUターンし就農されました。
【経営の概要】
河野牧場は、現在、経産牛29頭(うち搾乳牛26頭)、育成牛15頭を飼養しており、令和5年度における生乳出荷実績は229tで、脂肪率3.96%、無脂固形分率8.56%、体細胞数と細菌数は常にAランクと安定した良質乳を生産されております。
労働力は裕喜さんが主体となり、搾乳、哺育・育成、飼養管理、繁殖管理、草地管理、経営管理と多岐に渡り担当、父の仁さんは搾乳や給餌、堆肥処理等の作業を行っています。仁さんが県酪連の会長を務めていた頃は、牧場を空ける事が多く労働力不足を補う為、平成29年に補助事業を活用し自動給餌機を導入しました。これにより朝昼晩の給与に要する労働力が軽減し、従来よりも給与回数を増やすことで、乳量の増加に繋げる事が出来ました。
後継牛は自家育成を基本とし、牛に負担を掛けず長命連産性を重視し、適度な能力と体型を有し、肢腰の強い中型の管理しやすい牛づくりを目指しています。自給飼料は、近隣の酪農仲間と細断型ロールベーラやラッピングマシン等を共同購入し、デントコーンとソルゴー等の作付を行っています。
経営を行う中で規模拡大や乳量を追い求める傾向にありますが、規模拡大や設備投資を見据えながらも、限られた労働力や現状の施設・設備の中でこれらを維持し、基本的なことを忠実にこなし、今の経営を充実させる事を常に心掛けています。
裕喜さんは、2年前に開催された西日本酪農青年女性会議主催の酪農発表大会に愛媛県を代表して出場され、発表に当たりこれまで自分のやってきた経営内容や今後の目標を改めて確認する事ができ、他県の発表者との交流等、貴重な経験になったそうです。