おいしさは、いつも自然から。らくれん

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酪農家紹介

田井牧場

東温市松瀬川

東温市の公共温泉施設「さくらの湯」近くの住宅街を抜けると、それまでの空気がサッと後ろに流れるように自然あふれる景色が広がり、田井牧場が見えてきます。酪連本会より車で10分程の桜三里の麓に位置しています。
田井牧場の乳牛飼養頭数は54頭(経産牛32頭、育成牛17頭、子牛5頭)令和4年度出荷乳量は約180トンの実績です。

田井牧場について

【経営の推移・概要】

田井牧場は、正利さんが昭和50年代初め、酪農に将来性と魅力を感じ、勤めていた会社を辞め、始められました。廃業農家の鶏舎鉄骨を引き取り、24頭牛舎を建て、10頭余りの牛を興居島などから導入しました。その後何度か増築し、現在は50頭以上を飼養できる形になっています。

憧れで飛び込んだ酪農の現実は厳しく、資金繰りと近隣からの理解を得るのに、駆けずり回る毎日だったそうです。酪農の知識は出入りする獣医さんや仲間に教えてもらい、ひたすら牛を観察することで、覚えた知識の確認を重ね、少しずつ前へ進んでいきました。妻の敏子さんは「分娩間近の牛の傍で本を片手に今か今かと出産を待っていた」と懐かしそうに語っていました。

正利さん、敏子さんに酪農の魅力について伺うと、「酪農は365日休みがなく大変だというが、365日収入があるところが良いとこだ」、「酪農のおかげで多くの経験と人との繋がりを得た。酪農家は温かい」との金言を頂きました。

ただ最後には「酪農の大変さを知っていたら、酪農を始めてなかったかもしれない」と笑っていました。


【経営の特色】

現在の経営は娘の喜美香さんが中心となって切り盛りされ、日々の作業は省力化、機械化が整っており、テキパキと作業を進めています。夫である康之さんは、機械修理、コンピュータに大変明るく、県内の酪農家の間でも知らない人がいないほどの腕前でした。ご生前には機械修理などに日夜、走り回っており、牛舎は喜美香さんが任されることも多かったそうで、「当時から人手が少なくても作業が回るように工夫していたことが今の経営の支えになっている」と言います。

経営の中で特に重視している点は自家配合による飼料費の適正化に取り組んでいることです。ただ飼料費を削るだけでなく、牛体内の環境は意識しており、添加剤をうまく使いながら栄養バランスを整えています。

喜美香さんに酪農の魅力を伺うと、「酪農は何世代もの牛の一生と向き合いながら日々過ごせるところが魅力」と言っておられました。今回取材で4世代の家族の皆様に牛舎へお集まり頂き、その仲睦まじい【家族の距離の近さ】の光景を見ると、これもまた酪農の魅力の一つだと感じ入ることが出来ました。

田井牧場の取り組みと今後

動物好きだった喜美香さんは高校生の時に見学に来たのが田井牧場だったそうです。その縁で19歳の時に嫁いでから丁度30年。まさかと思うような出来事や辛い思いもありましたが、先代が作り守ってきた牧場を自分が元気なうちは守っていきたいと明るくおっしゃっていました。また今後も酪農ヘルパーを活用し、趣味の温泉や好きなアーティストのライブにも足を運びたいそうです。

現在、喜美香さんの息子の宏治さんが牛舎を手伝ってくれていますが、息子には、自分の将来は自分で決断してほしいと喜美香さんは言います。宏治さんご本人も酪農の厳しさを分かっているからこそ、じっくりと進むべき道を考えておられるようです。

らくれんより

酪農情勢はもとより、世界各地での紛争、経済混乱等で閉塞感が払拭されない世の中ですが、田井さんのように、多くの苦難を迎えても、たくましく前向きに考えて行動していくということが、大事なのかもしれません。
 田井牧場の益々のご発展・ご活躍を県酪連・四国乳業職員一同、心より期待しております。

(東中予指導事務所 三原宏文)