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酪農家紹介

冨永牧場

大洲市肱川町

今回の酪農家訪問は、大洲市肱川町大谷の冨永裕貴牧場を紹介します。冨永牧場のある肱川町は愛媛県の中南部、大洲市の南に接した清流として有名な一級河川「肱川」の中流域に位置しており、大谷地区は大洲喜多管内生乳生産量の約四割を占める管内最大規模の酪農地区でもあります。

冨永牧場について

【経営の推移】

冨永牧場の酪農は、昭和25年頃に祖父・伊佐男さんが乳牛2頭を飼養したのが始まりです。その後、徐々に増頭し、共同での大谷酪農の立ち上げ、第二次構造改善事業による現在の牛舎建築を経て、父・眞二さんが就農した昭和53年頃には30頭にまで増えました。その後も頭数は増え続け、令和4年3月に離農した隣接の繋ぎ牛舎を買い取り、令和4年4月、長男・裕貴さんに経営が移譲され、現在に至っています。(牛舎を買い取る前、搾乳牛が60頭近くに増えた時には、毎日朝晩、多い時で25頭をバケットで搾っていたそうです。)


【経営の概要】

冨永牧場は現在、経産牛78頭(うち搾乳66頭)、未経産牛17頭の合計95頭を飼養しており、北海道にも44頭預託されています。

労働力は主に裕貴さん(搾乳・給餌全般・繁殖管理)、父・眞二さん(搾乳・糞尿処理)、母・明美さん(搾乳・哺乳)、弟・拓未さん(除糞)の4名で、奥さんの由美さんも搾乳を一緒にされておりましたが、現在は2人の子供(疾風君1歳と宗隆君0歳)の子育てと家事に専念されています。

裕貴さんが酪農を継ごうと思い始めたのは、父・眞二さんが大怪我をした時で、その時に自分が中心にやっていかねばと強く決心されたそうです。眞二さんも「怪我をする前から一緒に手伝ってくれていたので今もこうして続いているが、そうでなければ(酪農を)やめていたと思うので、非常に感謝している」と話してくれました。

小さい頃は、両親が経営されている姿を見て正直あまり良いイメージが無く、特に休みが無いというのが一番大きかったそうです。経営主となった現在はどうか?と尋ねてみると、「大変なことが多いけど、手をかけた分、牛も応えてくれるので、とてもやりがいのある仕事だ」と話してくれました。

また、毎日の作業では、牛を観察して『変化』に気づくこと、病気や発情をいち早く見つけることを意識して心掛けておられ、作業で一番大変なのは餌やりで、分離給与のため全頭給与するのに時間が掛かるとのことです。

さらに、平均乳量を高めるための取組みとして、粗飼料を出来るだけ食い込ませること、複数の乾草とエコフィードの多回給餌、牛1頭ごとの乳量に応じて配合飼料を計算し給与など行っており、日々のこうした積み重ねが実を結び、令和4年度乳質改善共励会において、大洲喜多地区で最優秀賞、愛媛県で優秀賞(年間平均乳脂肪率3.98%、無脂固形率9.02%・体細胞数18万・細菌数3万)を受賞し、愛媛県優秀乳用牛群検定農家(経産牛1頭当たり乳量11,199kg)として表彰もされました。

冨永牧場の取り組みと今後

今後の酪農経営については、「1頭あたり平均乳量を今以上に高めながら、分娩間隔400日を切りたい。それと今年に入ってからゲノム検査を始めたので、そのデータを活用して健康で収益性の高い牛群を作っていきたい」と明確な目標を話してくれました。

らくれんより

毎日が多忙な裕貴さんですが、ヘルパーの日には趣味のバス釣りをしたり、最近では子供が生まれてからは、ショッピングモールなどでの買い物をしてリフレッシュされるなど、家族との時間をとても大事にされています。これからの大洲喜多酪農の中心的存在になってくる有望な若手経営主であり、今後の活躍が非常に楽しみです♪冨永牧場の益々のご発展を職員一同期待しています。

(南予指導事務所 能田 竜)