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酪農家紹介

下岡優牧場

愛媛県西予市

今回の酪農家訪問は、西予市野村町の下岡優牧場を紹介します。
下岡牧場のある西予市野村町は中心部を一級河川「肱川」が流れ、標高1400mの四国カルストを含む急峻な山々に囲まれた自然豊かな地域です。県内屈指の酪農地帯でもあり別名「ミルクの里」と呼ばれています。平成30年は西日本豪雨災害により大きな被害を受けましたが、完全復興に向け現在も「がんばろう野村」のもと、懸命な復旧作業が日々進められています。

下岡優牧場について

下岡牧場の酪農経営は、現経営主の優(ゆう)さんの曾祖父が昭和19年に近所の酪農家5~6人で静岡県より乳牛1頭を導入したのが始まりで、以降着実に増頭され、優さんのお父さんが就農した昭和56年には、22頭の繋ぎ飼いによる合乳出荷での経営となっていました。

優さんは平成20年、地元野村高校を卒業後、北海道の瀬能牧場で約2年実習を行い、その後、実家へ戻ってからも酪農の手伝いをしつつ、東宇和酪農ヘルパー利用組合に所属し臨時ヘルパー士として地域酪農に携わっていました。同時に、お父さんも将来の後継者として優さんへの経営移譲を真剣に考えていましたが、牛舎は町内の住宅街にあり、環境的にも増頭は難しく移転を模索していました。

そのような中、平成25年10月、町内で50頭規模の繋ぎ飼い(一部フリーバーン)牛舎で離農者が出たため、その離農した酪農家と跡地利用について話し合いをした結果、離農した牧場の牛舎(堆肥舎含む)及び機械施設を借り受けることができ移転を決意。この移転を機に経営を優さんへ移譲し、翌11月より個人集乳所として現在に至っています。(経産牛36頭、未経産牛14頭の合計50頭を飼養。労働力は優さん、奥さん、お父さんの3名)

堆肥処理については、良質な完熟堆肥を約4ヘクタールの自己飼料畑へ全量還元し、夏はデントコーン、冬はイタリアンを作付け、近年は東宇和農協で設立されたコントラクターも利用しながら、ロールサイレージでの自給飼料生産に精力的に取り組むなど、労働力負担軽減を図っています。

下岡優牧場の取り組みと今後

優さんが普段、飼養管理の面で特に意識して心掛けていることは「とにかく牛に腹いっぱい飼料を食わす・餌槽を空にしない」ことだそうです。乾草をたっぷり給与しルーメンマットを十分に作る。そうすることで牛の調子が良くなり繁殖も改善され、事故による廃用が格段に減ったそうです。また、搾乳においても乾燥機にかけたタオルによる1頭1布での清拭、前搾りとポスト・プレディッピングの実施、日々の疫病予防対策等、こだわりと徹底ぶりで、年間通じて高品質な生乳生産と安定した成績を収めています。

(牛群成績:経産牛1頭当り年間平均乳量約8,241kg・乳脂肪率3.71%、無脂固形率8.84%)

牛群の改良にも意欲的で、平成31年3月の愛媛県乳牛共進会では未経産牛の部でリザーブチャンピオンを、4月の四国連合乳牛共進会では未経産牛・経産牛の部でそれぞれ優等賞1席を受賞、更には5月の牛群審査において下岡牧場初となるエクセレント牛が誕生するなど、平成31年に入ってからの躍進は目覚ましく、これまで乳牛に注いできた改良に対する情熱と努力が実を結んだ形となりました。

優さんに今後の経営について聞いてみたところ「今後も自給飼料の増産に力を入れながら、将来的には更なる牛舎移転も視野に規模拡大を行い、効率の良い酪農経営で労働力の負担軽減を図っていきたい」と語ってくれました。

らくれんより

現在、優さんは東宇和酪農青年部・役員を、奥さんも東宇和酪農女性部・役員を務めるなど、夫婦揃って東宇和酪農の地域発展のため精力的に活動を行っております。今後の東宇和酪農を担う若い世代の一生産者として、一層の活躍と下岡牧場の益々の発展を、職員一同期待しております。

(南予指導事務所野村駐在 能田 竜)